xsalaryのブログ

ごく平凡なサラリーマンです。平凡な日々に刺激を与えるため、ネタになることを集めて書いていこうと思います。

【読書感想】同志少女よ、敵を撃て

ロシアのウクライナ侵攻時に話題になった、読みたかったが中々読めなかったこの一冊。

ストーリーは第二次世界大戦の開戦直前のロシア。小さな田舎村の少女は平和に暮らしていたが、ある日襲来したドイツ軍に母親含めた村人達を惨殺される。少女は狙撃手になって、ドイツ軍や母を殺した人間に復習を誓う。

第二章以降は狙撃兵養成部隊での経験と軍の仲間や師との関係形成。三章では初の戦場での経験と地獄絵図がリアルに描かれている。

その後は戦勝国として戦局が優位になっていく中での、ドイツへの侵攻、その先での戦友たちとの闘いと死別・幼馴染との再会と破局(最後は自身の手で射殺するに至ってしまう)、最も復讐したかった人間への復讐など。

戦争という地獄の中で自身の行動や思想の意味と葛藤などに苛まれるが、最後は終戦を迎えて、故郷の田舎村で静かに生活を送る。

中には当時のウクライナソ連の関係も出てきており、ドイツなど欧州の軍事制圧から逃れるためにソ連の連邦内に入ってはいるが、そのソ連からの迫害もあった描写もある。そして現代では逆となり、ロシアからの軍事制圧にアメリカやヨーロッパが支援しているという構図になっている。

本自体は主人公のセラフィマを通して、戦争の悲惨さや狂気がリアルに描写されている点と、それに苦しみつつも生還し一つの答えを見つけて平和なラストを迎える物語になっている。アガサクリスティー賞大賞受賞も納得の名著だった。